お知らせ・コラム

2026年3月26日
コラム

紡がれる 婚礼布団

駅前を通る交通量の多い幹線道路から脇道へ入ると

急に道幅がせまくなり、どちらかと言うときつい坂道を幌付きの軽トラで登っていきました。

途中のお家には咲き始めの桜の木が植わっているような小高い丘の閑静な住宅地。

新しいお家が多いので一見新興住宅地としてひらけた町のように感じましたが所々に日本建築の旧家のような大きなお家があるところを見ると古くは田園風景の広がる農村集落があったのではと思い直しました。

三度インターホンを鳴らしましたが応答がなく、車内で少し待つことにしました。

少しすると小走りに駆け寄る足音が聞こえてきました。

つっかけの音がなんだか懐かしい。

インターホンの録画を見て飛んで出てきたとおっしゃりながら明るく呼びに来て下さったK様。

掃除機をかけていてその音で気が付かなかったと申し訳なさそうにお話下さいましたが

実はよくあることなのでお気遣いの無いようにとお伝えしました。

先日ご注文いただいた「打ち直し・仕立て替え」されたお布団をお届けし、大変喜んでいただいたK様。

こういう時はお布団屋さんをしていて良かったなと思えるとてもうれしい瞬間です。

この度の「打ち直し・仕立て替え」のお布団は、K様が嫁がれてくる際にご両親が誂えられた婚礼布団でした。

ほぼ不使用のまま※布団ふとん 箪笥 たんす にしまっておられたとのことで状態は非常に良いわたでした。

K様とお話の末、お孫さまが使えるお布団にと打ち直し仕立て替えさせて頂きました。

出来上がったお布団は、元々の木綿わたの良さとお選びいただいた良質のふとん生地が相まって(もちろん布団職人の手仕事も!)素晴らしいお布団に仕上がっていました。

実はK様のお宅は私のお店からはかなり遠方にもかかわらずお電話下さったのは近くにあったお布団屋さんが全て廃業されていた為でした。

ネットで検索される中で弊店のHPを気に入って下さり遠いので店舗を確認することも出来ず大変不安があったと思われますが勇気を出してお電話下さったK様に感謝いたします。

そして今、重ねて感謝をしています。

お届けした「打ち直し・仕立て替え」後のお布団の仕上がりに大変喜んで下さり

追加の「打ち直し・仕立て替え」のご注文を下さいました!

どのように表現すべきでしょうか?

この度お納めしたお布団がK様のご希望に添うことができたのだと思います。

K様をお嫁に出す時のご両親の想いのこもった品を託すに価するふとん屋として認めて下さったのだと自分勝手ではありますが解釈しました。

K様のご両親から始まるこの綿の物語に今回ご注文下さいましたK様ご自身の想いも書き加えられることとなりました。

そのお気持ちに応えて、追加でご注文下さった「打ち直し・仕立て替え」のお仕事

この綿の物語を引き継がれるご家族様にも喜んでいただける素晴らしいお布団にお仕立て替えしたいと思いました。

仕立て上がったお布団をお届けするときのK様の喜ぶ明るい笑顔を思い浮かべながら…

この度はありがとうございました。